地場の不動産会社に【おまかせ】状態の築31年木造アパート。原状回復工事の見積査定と建物チェックのご依頼があり、いざ現場へ。見積書に気になる記述がありました。
『トイレ天井:ボードグズリ有』…愚図り!?
退去から3ヶ月間放置され、天井に穴がポッカリ!照明器具は宙ぶらりん。天井クロスはまだ新しく、下地は竣工時のジプトーンに石膏ボードが重ね貼りされています。触れてみると(赤ん坊が)「愚図っている」どころか、水分に耐えきれず崩落寸前(漏電しなかったことは、不幸中の幸いでした)
上階トイレ配管からの漏水は自明です。野縁の腐朽状態からすると、長期間漏水していた模様。つまり、石膏ボードを重ね貼りした時点で、既に漏れていた可能性も。今回、見積業者は水漏れには触れず、ボード貼替えのみ予定していました。
室内を調べると(表面のクロスは破れていませんが)壁下地に何カ所も穴を発見!前回、下地石膏ボードを補修せず、上からクロスを貼った”袋張り”つまり、障子と同じ状態で済ませています。これでは、ぶつかっただけで穴が開いてしまいます。
【臭いものに蓋をする】その場しのぎ
ここは、大学生向けアパート林立エリア。卒業入学時に入退去が集中するため、業者は手離れ優先。不具合は見て見ぬふり。場当たり的な対応で済ましていたとしても、不思議ない状況かもしれません。ましてや、管理会社にキックバックを上納させられるのですから。
管理会社にとって、原状回復は傘下の業者に工事手配する。たったそれだけで、業者とオーナーからダブルでマージンが入ってくる【濡れ手に粟】なのです。さらに言えば、不動産会社は工事のプロではない事も多く、チェックも形式的にしか行っていないのが実情です。
つまり、管理会社の原状回復工事は割高な上、安心システムとは言えないのです。
結局、天井を全面撤去し、上階トイレを着脱、床補強、配管交換、天井やり直し。大がかりな工事で費用もかかりました。が、しかしです。難交渉の末、なんとか火災共済が適用されました。
このように独立専業の設計事務所は、より専門的でクライアントに寄り添ったサポートが可能なのです。